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教師を育て、音楽授業を創造する場 Japan Association for the Study of School Music Education Plactice

研究大会

 

設立30周年記念シンポジウム

 
日時:2025年5月10日(土) 13時30分〜16時30分

会場:東京・国立オリンピック記念青少年総合センター


 

日本学校音楽教育実践学会30周年記念シンポジウム 開催報告

2025510日、東京・国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟・国際会議室にて日本学校音楽教育実践学会30周年記念シンポジウム「AI時代における学校音楽教育の新たな意義」が開催され、100名近い方々にご参加いただきました。

第T部の基調講演では、まず脳科学の小泉英明氏(公益社団法人日本工学アカデミー顧問)による「脳科学からみたAI時代における音楽・芸術教育の意義」をテーマにご講演がありました。学習とは環境から外部刺激によって中枢神経回路を構築する過程、教育とは外部刺激を制御・補完し、学習を鼓舞する過程であるとの定義から、脳神経科学からみた教育の本質についてご講演がありました。乳児が興味をもったぬいぐるみに近づき手を伸ばす事例では、脳の学習アルゴリズムが出力依存性をもつこと、手を伸ばすといった出力は環境応答から脳がアルゴリズムを獲得するための手段となることから、教えこみではなく子どもの興味、意志を尊重すること、直接体験を通しての学びの重要性が示唆されました。

次に認知心理学の今井むつみ氏(慶応義塾大学)による「AI時代におけることば、身体、学び」をテーマにご講演がありました。AIにはない人としての学び方という観点からアブダクション推論と記号接地問題を軸にお話がありました。音楽は非認知能力を向上させるだけではなく、数学や科学といった抽象的な概念の設置を助け、生きた知識の基盤づくりを助けることができること。音楽の楽しさを身体で味わいながら、楽しい感情を伴った学びで知識と感性を共に磨くことができる音楽の授業の可能性が示されました。

第U部はこれまで本学会で蓄積してきた実践の中から、とくに子どもたちのリアリティが発揮されている音楽の授業を動画も交えて紹介いただきました。小学校は「阿波踊りの囃子詞」「つるしたものの音」の音楽づくりの授業、中学校は「魔王」の鑑賞の授業、高等学校は「コード進行にのせた歌づくり」の創作の授業が紹介されました。いずれの報告もスクリーンいっぱいに繰り広げられる子どもたちの嬉々とした姿が印象的でした。

 第V部は「AI時代における学校音楽教育の新たな意義」と題し、パネルディスカッションがなされました。清村代表理事より、AIにはない経験の質を意識できる場としての学校音楽教育は、子どもたちの想像力、イマジネーションを育み感性を育てることに貢献するということが提案されました。続いて朝日新聞社の吉田純子氏より、音楽の本質という観点から、違うモノの中に同じ本質を見つけ自分のこととしてつながっていくことができる学校音楽教育の可能性が示唆されました。

 脳科学の知見からは直接経験の重要性が示され、認知心理学の知見からはAIにはできない人間ならではの思考の基本にはイマジネーションがあるということが示されました。直接経験や質の経験が行われ、なおかつイマジネーションを働かせる音楽の授業は、AI時代にこそ重視されるべき教科であることが、このシンポジウムを通して立証されたように思います。

日本学校音楽教育実践学会

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